「ミルウォーキーエイトとツインカムの違いがよくわからない」
このように感じたことはないでしょうか?
ミルウォーキーエイト発表からだいぶ経つし、カムが1本に変更されたといってどう変わるかよくわかりませんよね。
でも、一つひとつ基本から見ていくことで簡単に理解できます。
そこでこの記事では、
ミルウォーキーエイトとツインカムを比べ、どこが変わったのかを一つひとつわかりやすく解説します。
新・旧エンジンの違いを知りたい方や、ミルウォーキーエイトの購入を考えている方は、
ぜひこちらの記事をご一読ください。
ミルウォーキーエイトとは
ミルウォーキーエイトはハーレーの9代目エンジンで、ツインカムの次のエンジンです。2017年モデルのツーリングファミリーに初めて搭載され、2018年モデルにはソフテイルファミリーにも搭載されました。
排気量は、
・ミルウォーキーエイト107 1,745cc
・ミルウォーキーエイト114 1,868cc
の2つが用意されています。
フレームは新設計で剛性を65%向上しつつも軽量化を果たしています。シャーシ全体の剛性も34%アップされました。
ちなみに、2018年モデルからダイナファミリーが廃止され、ソフテイルファミリーに統合されています。ダイナファミリーだった「ストリートボブ」「ローライダー」「ファットボブ」はソフテイルファミリーになりました。
そんな大改革が行われたミルウォーキーエイトと旧エンジンであるツインカムの違いについて見ていきましょう。
ミルウォーキーエイトで変わった改良点
ミルウォーキーエイトエンジンは、旧エンジンであるツインカムに比べ多くの改良が加えられました。以下の表をご覧ください。
バルブ | カム | プラグ | バランサー | エンジンオイル | 電気系統 | アイドリング | その他 | |
ミルウォーキーエイト | 4バルブ×2気筒 | 1本 | 2本×2気筒 | あり | 4.5クオート(約4.25L) | 発電系統の刷新 | 850回転 | 新設計フライホイール、オイルポンプ強化 |
ツインカム
|
2バルブ×2気筒 | 2本 | 1本×2気筒 | なし
(Bエンジンは除く) |
4クオート(約3.78L) | 1000±50回転 |
変更点をまとめるとこのようになります。
・変更点1. 2バルブから4バルブへ
・変更点2 ツインカムからシングルカムへ
・変更点3 シングルプラグからツインプラグへ
・変更点4 バランサー搭載エンジンのみに
・変更点5 エンジンオイル量の拡大
・変更点6 発電系統の刷新
・変更点7 アイドリング時のエンジン回転数が低回転化
・変更点8 新設計フライホイール搭載やオイルポンプの強化
それぞれ詳しく見ていきましょう。
変更点1. 2バルブから4バルブへ
ミルウォーキーエイトエンジンになり、2バルブから4バルブに変更されました。
4バルブ化されたことにより
・吸排気効率の向上
・燃焼効率の向上
・高回転域の負担の軽減
など、高回転でもロスなく効率的になりました。
変更点2. ツインカムからシングルカムへ
カムシャフトは2本から1本に変更になりました。シングルカム化により構造がシンプルになり、ノイズや故障リスクの低減につながります。
ツインカムは高回転時のパワーが出ますが、部品点数が多くなり故障リスクがありました。
その対策と信頼性を高めようと考えた結果、シングルカムが採用されたと思われます。
変更点3. シングルプラグからツインプラグへ
シングルプラグからツインプラグに変更になりました。それによって、燃焼室内の混合気の燃焼効率が上がり、排気ガスをキレイにすることが可能です。
それだけでなく、
・エンジン内にカーボンが残らない
・ノッキングを防止できアイドリングが安定する
・中低速のトルクが増し、加速が良くなる
など、さまざまなメリットがあります。
変更点4. バランサー搭載エンジンのみに
ミルウォーキーエイトはバランサー搭載エンジンのみです。ツインカムのときにはバランサーが搭載していないエンジンと搭載したBエンジンがありました。
ツインカムBエンジンからミルウォーキーエイトになりバランサーの仕組みが変わったことが特徴です。フライホイールの前後に搭載されていたものも前側だけになりました(ソフテイルファミリー用のミルウォーキーエイトは、前後に搭載)。
エンジンの振動も
・ツインカムは100%打ち消してリジットマウント
・ミルウォーキーエイトは75%打ち消して、残りをラバーマウントで吸収
と変更されています。
変更点5. エンジンオイル量の拡大
ミルウォーキーエイトエンジンはツインカムに比べ、エンジンオイルの量が増えました。
オイル量は以下のように変わりました。
エンジンオイル
ツインカム・・・4クオート(約3.78L)
ミルウォーキーエイト・・・4.5クオート(約4.25L)
これはエンジンの排気バルブ周りにオイルラインができたためです(非ツインクールド)。走行風だけでなくオイルでもエンジンの冷却ができるようになりました。構造的にみると油冷エンジンに似た方式です。
変更点6. 発電系統の刷新
発電系統の刷新が行われ、アイドリング時の発電量が50%アップしました。その結果、アイドリングの回転数を下げることができ、エンジンの熱量を抑えることができます。
それだけでなく、スマートフォンやモバイル機器の充電にも十分に対応でき、現代のモバイル機器の利用状況に合わせて改良されています。ロングツーリングの際にも電源に困ることはありません。
変更点7. アイドリング時のエンジン回転数が低回転化
ミルウォーキーエイトになりアイドリング時のエンジン回転数が下がりました。ツインカムは1000±50回転でしたが、ミルウォーキーエイトでは850回転になっています。
回転数が下がったことでよりハーレーらしいサウンドになりました。また、キャタライザーの位置がマフラーエンド側に移動したことも合わせて、ライダーが感じるエンジンの熱も抑えられます。
変更点8. 新設計フライホイール搭載やオイルポンプの強化
新設計のフライホイールを搭載し、ハーレーの鼓動感と低速トルクがより体感できるようになりました。また、オイルポンプが強化され、より多くのオイルが流れるようになりました。エンジンの焼き付きや冷却に効果があります。
まとめ
今回はミルウォーキーエイトとツインカムの違いについて解説しました。
ミルウォーキーエイトになり、
・吸排気系や燃焼効率の向上により高回転がスムーズに
・ノイズや故障リスクの低減
・排ガスがキレイに
・バランサー搭載エンジンのみに
・エンジンオイル量の増加
・発電量50%アップ
・アイドリング時の回転数は850回転
・新設計のフライホイールで、鼓動感と低速トルクの増加
・オイルポンプ強化でエンジンの焼き付きや冷却に効果
など多くの違いがあることがわかったのではないでしょうか。
ミルウォーキーエイトの購入を検討している人も参考にしてみてください。
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